最近盛り上がりを見せている分野に「AI(artificial intelligence:人工知能)」があります。「IoT(Internet of Things)」や「ビッグデータ」と併せて語られることが多く、とても注目をされています。
数年前は「これってAIですか?」と聞かれることが多く、まだまだ実用段階には遠いように感じていましたが、最近では家電製品でも「AI〇〇」とか、「AI機能搭載」と謳われるようになり、まだ物珍しさを狙っているようにも感じますが、徐々に身近になってきています。
以前、IoT分野について「IoTの盛り上がりと関連資格の普及状況について」でも記事にしましたが、今回はAIの関連資格になるG検定(JDLA Deep Learning for GENERAL)に合格しましたので、資格の内容や対策と併せて、最近のAI事情をまとめてみたいと思います。
G検定とは
注目を浴びているAI業界では、関連する資格にどんなものがあるのかを調べてみました。私は技術特化した資格より汎用的な知識を試したかったので、2020年7月時点では昔からあるIT系と技術系を除くと、G検定くらいしか見当たりませんでした。
今回に限り受験料が半額だったこともあり、2020年第2回G検定を受験し、合格しましたので、概要から合格までの流れをまとめてみます。
G検定 概要
G検定とは、一般社団法人日本ディープラーニング協会(Japan Deep Learning Association:JDLA)が行っている民間資格で、ディープラーニングの基礎知識、適切な活用方針を決定して事業活用する能力や知識が求められます。G検定の「G」はジェネラリスト(generalist)を表します。他にも、JDLAでは、G検定以外にエンジニア向けのE検定も用意されています。
試験の実施概要(2020年第2回)は以下の通りで、特徴はオンライン(自宅)で受験できるところだと思います。
- 受検資格:制限なし
- 試験概要:120分、小問214問(前回実績)、オンライン実施
- 受験料:一般 12,000円(税抜き)*2020年第2回は受験料が半額になりました
G検定の試験問題のイメージはJDLAサイトで公開されていますが、一つの問題に対し複数の選択肢より正解を選ぶ方式となります。
(JDLAサイト:G検定の例題:https://www.jdla.org/certificate/general/issues/)
出題範囲はシラバスで公開されていますが、人工知能(AI)の定義から動向、機械学習やディープラーニングの手法、その研究分野や応用など多岐にわたります。時に計算問題なども出題されますが、どちらかというと言葉を知っているかの暗記系の問題が多くなります。
G検定 受験者数と合格者数
では、どれくらいの受験者と合格者数がいるのかを、見ていきます。私が受験した2020年第2回では12,552名が受験し8,656名が合格(約69%)しています。
過去の受験者数と合格者数の推移は以下の通りになります。緩やかに増加をしていますが、今回は倍程度に増加しています。AI関心の高まりもあると思いますが、今回に限ってはオンライン受験できる点と受験料半額の影響が大きかったように感じ出ています。
(私は半額でなかったら今回受けていたかどうか・・・)
出典:一般社団法人日本ディープラーニング協会より
開催回ごとの合格率でバラツキはあるものの、約70%前後で推移しています。試験の点数や合格ラインが非公開ではありますが、ある程度ちゃんと勉強をしていけば合格できる試験だと思います。
G検定を受験してみて
私が受験した中で、勉強方法や時間、受験してみた難易度などを整理していきます。
勉強方法と勉強時間
G検定では過去問が公開されていないため、必然的に書籍からのインプットが中心になります。JDLAのサイトでは推薦図書が多く紹介されていますが、正直、多すぎて何を選んだらいいのかわかりませんでした。
G検定 推薦図書:https://www.jdla.org/certificate/general/
私が使用した書籍はテスト対策という意味では「深層学習教科書ディープラーニングG検定(ジェネラリスト) 公式テキスト」を使用し、どんな事例があるかを知るため「ディープラーニング活用の教科書」を使用していました。
また推薦図書にはないですが「人工知能は人間を超えるのか」は、取っつきやすいので初めに読む本としてはお勧めしています。
インプットだけではテスト対策として不十分として考えていたので、問題集として「徹底攻略 ディープラーニングG検定 ジェネラリスト 問題集」も使用していました。テストに最短距離で合格するには、問題集(あれば過去問)を繰り返しやるのがいいと思います。
私は、具体的な時間は計測していませんでしたが、テキストでインプット→問題集を3サイクル程度行い試験に挑みました。あまり基礎知識がなかったとしても、テキスト→問題集をベースに学習し、残り時間に応じて周辺の書籍で保管するやり方がいいように思っています。
試験難易度
2020年第2回の試験では、上記のテキストと問題集をきっちりやっても、網羅できていない問題は出題されています。時には全く聞いたことない言葉が問われることもありました。
しかし全体的に5割~6割は回答できるように感じたため、残り4割はある程度回答を絞る(2択や3択)ことができれば、6割~7割は得点できる計算になります。
得点や合格ラインは非公開ですが、合格率が7割前後だと考えると、この6割~7割が合格ラインになるのだろうと想像しています。となると、ある程度順次ができていれば、そこまで高い難易度ではないと考えます。
イメージですが、専門的な知識(スペシャリスト)がよりも、汎用的な知識(ジェネラリスト)が問われるため、業界内で会話ができるベースの知識が問われているように思います。その意味ではIoT検定などと似ているように思っています。
G検定の合格後に思うこと
広い意味でAI(人工知能)はまだ黎明期にあると思いますが、今後、利活用は広まっていくと考えています。自社での利活用を考えていくためにはある程度の知識は必要になると思います。その意味で、G検定合格という一定の目標を掲げて学んでいくことは、有益だったと感じています。
しかし、資格保有=実務で活用できるというほど簡単ではないので、これからも実務でAI案件を対応する中で、教科書的な知識と実務的なノウハウを貯めていこうと考えています。
私は技術者ではないので、AIを構築するよりも、AIを利用して何をするか?そのために何が必要か?などを考えていきたいと思っています。
最後に
これからAIを活用して利益を増やしていく観点は、ますます重要性を増してくると思います。今のうちに、基礎的な知識を習得して、自社のどの部分で活用できるのかを検討していくことは、重要になってくると思います。
皆さんも、資格取得を機会にAIの活用まで検討してみてください。
アンドファンではAIの活用から、海外アウトソーシング(BPO)として、教師データのタグ付け(アノテーション)作業を承っておりますので、お気軽にお近くのスタッフまでお声がけください。
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それではまた。
アンドファン株式会社
中小企業診断士 田代博之