おはようございます。
働き方改革による長時間労働の是正が注目されている中で、タイトルの通り自社の営業マンに24時間に働いてもらうことは、大きな問題になります。しかしホームページを上手に活用すると、これを実現できる方法があります。
それは自社のホームページを活用する事です。自社サイトを持つことは一般的になってきましたので、多くの企業が自社ホームページを開設していると思います。しかし、ホームページの活用方法について悩みを持つ会社は多く、特に「売上・収益」と「人材確保」の面で活用していきたいと考えている中小企業は多いのでないでしょうか。
今日は中小企業にとっての自社ホームページの活用について考えてみたいと思います。
ホームページ開設の現状
はじめに、実際にどの程度の会社が自社ホームページを開設しているのかを、データに沿って見ていきたいと思います。総務省が調査した「平成28年通信利用動向調査報告書(企業編)」から、従業者規模別でどの程度の企業が自社HPを開設しているのかを見てみます。
従業者規模別ホームページ開設状況の推移
出典:総務省「平成28年通信利用動向調査報告書(企業編)」より
本アンケートは無作為に抽出された、常用雇用者が100名以上の企業に対して行っているため、全体としては87.8%の結果になっていますが、従業者数が増えるにつれて開設状況が良くなっていることもわかります。多くの会社が自社ホームページを開設していることがわかりますが、100名以下の企業においては全体平均よりも低い数字になっていると考えられます。
次に同アンケート調査から、ホームページを開設する目的や用途を見てみます。
(平成28年では調査が行われてなく、平成26年のデータとなります。)
ホームページの開設目的・用途の推移
出典:総務省「平成26年通信利用動向調査報告書(企業編)」より
こちらを見ると、主に「会社案内、人材募集」「商品や催物の紹介、宣伝」を目的・用途にしていることがわかります。恐らく自社ホームページを作成しようと思えば、会社概要や沿革、事業概要や商品紹介のページを作成し、既存の顧客や新規の顧客に対して、会社や商品のことを知ってもらい、売上向上や人材確保につなげていきたいのだと思います。
ホームページには様々な特徴やメリットがありますが、特徴を理解して上手に活用するととても強力な武器になります。WEBの特徴の一例を以下にまとめてみました。
- 24時間365日稼働できる
- 世界中の誰もがアクセスできる
- 情報量に制限がない
- 最新の情報を容易に変更できる
- コストを抑えることができる
これらの特徴を活かしたホームページは、24時間365日の間、世界中の人々に自社の情報を発信してくれる優秀な営業マンになります。しかし、ここで注意が必要なのは・・・
「開設した後にちゃんと更新していますか?」という点です。
ホームページ更新の必要性
昨今、何か商品やサービス、イベントなどを探すときに、必ずといっていいほどWEB検索を行います。この時、ホームページはいわば会社にとって第一印象の部分となり、とても重要な役割を果たします。私も仕事柄、月に数十件以上の企業ホームページを見ていますが、特に中小企業においては、残念ながらホームページを開設した後に一度も更新がされていないようなケース、数年前に更新したけれどもそれっきりになっているケースを見ることが多くあります。
例えば、とある会社が新規の取引先を探している場合を考えてみます。 展示会や業界での口コミで会社名を知ったケースでも、その後に詳細な情報を求めてインターネットでホームページを検索することが多くあります。また自社の課題や欲しい商品の特徴などをインターネット検索して、商品やサービスを探すケースも多くあります。 昨今では、外出先の空き時間や移動時間などに、スマートフォンやタブレットで検索される場合も想定されます。その時に数年前から更新していないホームページで、スマートフォン表示にも対応していない会社のホームページを見たらどのように感じるでしょうか?
決していい印象は受けないですよね。更新頻度だけが問題ではないと思いますが、少なくとも開設しただけで放置している会社と、まめに情報更新をしている会社があった場合、どちらの会社にお問い合わせをするでしょうか。また中途半端な更新状況だと、どれが新しい情報で、どれが古い情報かの区別も難しくなります。
これは非常にもったいない状況ですし、折角訪問してくれた顧客に対して、自社の信頼を落とすことにもなりかねません。自社ホームページでは自社の情報を公開するだけでなく、適宜更新を行って「信頼の積み重ねていく」観点が必要になります。
とは言えホームページ活用というと、コストがかかりそうであったり、日々の業務が多忙でなかなかそこまで手が回らないと感じたりするかもしれません。しかし、多くの手間やコストをかけなくてもホームページ活用はできますので、手を付けないのはもったいないです。
ホームページ活用って何をするのか?
会社HPの活用やWEB活用というと、外部の専門業者に委託してデザイン性の高いホームページを作成することや、SEO(SerchEnginOrganaization)対策を委託して検索順位を上げ、新規顧客の流入を増やそうとするケースが多くあります。
もちろんこれも大事なことですが、必ずしも多くの費用をかけなくてもできることはありますし、初めにコストをかけて短期的な回収を計画するよりも、細くでも長く続けられる方法を取っていく方が望ましいと考えています。
次からはホームページ活用のステップを簡単にまとめて行きます。
ホームページ活用ステップ
「立ち位置」を考える
まずはホームページに期待する主たる役割を検討します。例えば商品のPR,新規顧客の開拓、人材の確保など、その役割によって「メインとなるターゲット(誰に?)」と「伝えたいこと(何を?)」の検討を進めます。あまり手を広げすぎると収拾がつかなくなりますので、ある程度絞った形で構築することが望ましいです。
また自社の営業などの活動全体の中で、どのような立ち位置にするのかも併せて検討していくと、注力する情報、そうでない情報の整理がし易いと考えています。
「来てもらう」工夫を考える
ホームページはそこにあるだけでは役に立ちません。ターゲットが訪問してくれるようにしていくことが必要になります。ここではSEO対策や外部リンクが一般的ですが、仮に会社の名前を知っている人がターゲットであれば、SEO対策としては「会社名」で検索された時にトップに出ていれば十分になります。
ここは目的に合わせて、どんな顧客に訪問して欲しいかなどを考えながら、仮説/検証を繰り返していく必要があり、地道でもコツコツと続けていくことが重要になります。
「来てもらった後の流れ」を考える
ターゲットが訪問してきた後にして欲し行動、例えば来店や問い合わせ、見積り依頼や会員登録など、その後の行動をイメージして準備する必要があります。例えば会員登録が希望であれば、単純なお問合せフォームだけではなく、会員登録用のフームを目立つところに配置するなどの工夫が必要になります。
結果を「解析」する
解析というと少し難しく感じるかも知れませんが、仮説を立てて実施した結果を確認して、仮説との相違点を探りながら次のアクションを検討していくプロセスになります。 漫然と数字を追うのではなく、自社の仮説に沿って重要な指標を整理したうえで結果を確認する事が必要になります。
代表的なツールである「GoogleAnalytics(グーグルアナリティクス)」は無料で導入することができますし、かなりの機能を保有しています。すべての機能を使いこなすのは難しいので、通常は重要な数項目をチェックするだけでも問題ないと思っています。
解析を基にして「対策」を検討する
解析から得られた情報(事実)をもとに、当初の仮説や目論見と違っている個所に対し、対策を検討していきます。この際に対策の効果を確認できる指標を検討して、次回の解析時に確認することが重要になります。
またホームページ開設から思い通りに結果を出すことはなかなか難しいので、ホームページも人と同様に少しずつ「育てる」感覚が必要になります。
最後に
WEB活用というと、少し難しい感じがしたり、取っつき辛く感じてしまったりしてしまうことがあります。しかし、一人の営業マンを育てることをイメージしてみて下さい。 営業マンの立ち位置や役割を決めて、集客から契約までのプロセスを決める、適切な数値目標を設定して、現状把握をしながら今後の改善点を検討して実施することと似ています。
WEBも人も育てるためにはある程度の時間や労力がかかりますので、思い付きや一過性の活動にならないように、一歩一歩、WEBの世界で優秀な営業マンを育てて下さい。
それではまた。
アンドファン株式会社
中小企業診断士 田代博之