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業務委託先を海外に選ぶメリットと注意点を徹底解剖

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gyoumuitaku

業務委託を検討する場合、多くの場合は国内の委託先から検討を進めると思います。しかし、人手不足の国内では、人材の確保も難しいですし、単価も高騰しつつあります。そんな中、委託先を海外へ求めるケースも増加しています。

海外への業務委託は、コスト削減や専門性の高い人材確保など、多くのメリットがある一方で、文化や言語の違いによるコミュニケーションの難しさ、品質管理、法的リスクなど、注意すべき点も存在します。

この記事では、海外業務委託のメリットや注意点、成功のためのステップを分かりやすく解説。貴社のビジネス成長を加速させるヒントが見つかるはずです。

1. 業務委託の概要

1.1 業務委託とは

業務委託とは、企業が自社の業務の一部または全部を外部の企業や個人に委託することを指し、アウトソーシングとも言われています。
契約の形態は、請負契約と委任/準委任契約があり、完成責任や契約不適合責任などに差がありますが、広く外部の企業や個人に委託することを業務委託と呼んでいます。

委託する作業内容の具体例として、以下のようなものが挙げられます。

  • システム開発:ソフトウェア開発やアプリ開発など、専門知識や技術を必要とする業務
  • Webサイト制作:ホームページのデザイン、コーディング、SEO対策など
  • デザイン制作:ロゴ、パンフレット、イラストなど、クリエイティブな業務
  • 翻訳・通訳:外国語の文書や音声の翻訳、通訳など
  • マーケティング:市場調査、広告運用、PR活動など
  • カスタマーサポート:顧客からの問い合わせ対応、トラブルシューティングなど
  • バックオフィス:経理、人事、総務など直接お客様と接しない業務

業務委託をすることは、企業にとって以下のようなメリットがあります。過去に「バックオフィス業務のコスト削減で業績アップ!?海外への業務委託を成功させるポイント」で記事も作成しているので、こちらもご覧ください

  • 専門性の高い業務を外部に委託することで、自社の経営資源をコア業務に集中できる
  • 必要な時に必要な人材を確保できるため、人件費の最適化や組織のスリム化につながる
  • 固定費を抑制し、変動費化することで、経営の柔軟性を高めることができる

1.2 業務委託の種類

業務委託は、委託の内容や期間、責任の有無などによって、いくつかの種類に分けられます。主な種類は以下の通りです。

種類 説明 特徴
委任契約 委託元から委託された一定の事務を処理することを委託する契約です。法律行為を委託する場合に用いられます。 委託された業務を遂行する義務を負う。
成果物の完成を約束するものではない。
委託元の指揮監督を受けない。
弁護士に訴訟代理を依頼する
税理士に税務申告を依頼する
準委任契約 委任契約と同様、一定の事務を処理することを委託する契約ですが、法律行為だけでなく、事実行為も委託する場合に用いられます。 委託された業務を遂行する義務を負う。
成果物の完成を約束するものではない。
委託元の指揮監督を受けない。
不動産業者の仲介業務
広告代理店の広告業務
請負契約 仕事の完成を目的とする契約です。成果物の完成に対して報酬が発生します。 成果物を完成させる義務を負う。
完成した成果物に瑕疵があれば、瑕疵担保責任を負う。
原則として、請負人の指揮監督を受けない。
システム開発会社にシステム開発を依頼する
建設会社に建物の建築を依頼する
労働契約 労働者が使用者に労働を提供し、使用者から賃金を受ける契約です。雇用契約とも呼ばれます。 使用者の指揮命令に従って労働する義務を負う。
労働時間に応じて賃金が支払われる。
使用者から労働時間や場所などの制限を受ける。
正社員、契約社員、パートタイマー、アルバイトなど

業務委託契約を締結する際には、それぞれの契約の特徴を理解し、自社のニーズに合った契約を選択することが重要です。
契約内容について不明な点がある場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

1.3 海外を選ぶべき理由

従来、委託先として国内企業に依頼することが一般的でしたが、近年では海外企業に委託するケースが増えています。これは、グローバル化の進展やインターネットの普及により、海外企業とのコミュニケーションが容易になったこと、人件費の安い国が増加したこと、日本国内で人材不足により人材が確保できなくなってきていることなどが背景にあります。

海外企業への業務委託には、以下のようなメリットがあります。

  • コスト削減:人件費の安い国に業務を委託することで、コストを削減することができます。例えば、ベトナム、インドネシア、ミャンマーなどの東南アジア諸国は、日本と比較して人件費が大幅に安いため、多くの企業がコスト削減を目的として業務委託先として検討しています。国によっては、日本と比べて半分以下で人材を確保できるケースもありることは魅力的です。
  • 専門性の高い人材の活用:世界中から最適な人材を探すことができるため、専門性の高い業務を依頼することができます。例えば、インドはIT人材が豊富であることから、システム開発やソフトウェア開発の分野で多くの企業が業務委託をしています。また、東欧諸国は、高度な技術力を持つエンジニアが多いことから、近年注目されています。
  • 24時間体制の対応:時差を利用することで、24時間体制で業務を依頼することができます。例えば、日本企業がアメリカの企業にカスタマーサポートを委託する場合、時差を利用すると24時間体制で顧客対応を行うことが可能になります。

ただし、海外への業務委託には、文化や商習慣の違い、言語の壁、品質管理の難しさなど、いくつかの注意点があります。これらの注意点を理解した上で、適切なパートナー選びや契約交渉を行うことが重要です。

2. 海外業務委託のメリット

2.1 コスト削減

海外企業に業務委託をする最大のメリットは、人件費をはじめとするコスト削減と言えるでしょう。特に、日本よりも人件費水準の低い国に委託することで、大幅なコストダウンが可能になります。
例えば、システム開発やカスタマーサポート、データ入力や画像加工など、人材を多く必要とする業務では、その効果は大きくなります。

具体的なコスト削減例として、日本のITエンジニアの平均年収は36,061USドルであるのに対し、インドのITエンジニアの平均年収は8,215USドルと、約4分の1の費用で人材を確保できる可能性があります。 (ヒューマンリソシア社調べ)

〇2.1.1 コスト削減のための注意点
  • 品質とのバランス:価格競争に陥り、品質が犠牲になるケースも少なくありません。また作業が限定的で、決まった作業しかできないケースも多くあります。価格だけでなく、実績やスキル、コミュニケーション能力などを総合的に判断し、自社にとって良いバランスを検討することが重要です。
  • 隠れたコスト:依頼する業務内容によっては、現地への出張費やコミュニケーションツール利用料、システム利用料などの追加コストが発生する可能性があります。事前に見積りをしっかりと確認することが大切です。

コスト削減だけを重視して品質やその他の事項が犠牲にならないよう、注意しながら進めることが必要です。
委託先の選定や契約内容の策定には、慎重に進める必要があります。

2.2 専門技術の利用

海外には、特定の分野で高度な技術や専門知識を持った人材が数多く存在します。自社では確保が難しい専門的なスキルを持つ人材に業務を委託することで、より高品質な成果物を得られる可能性があります。

〇2.2.1 海外の専門人材活用事例
  • AI開発、データサイエンス:AI開発やデータ分析の分野では、インドや中国などに優秀な人材が多く存在しています。これらの国では、政府が積極的にAI分野への投資を行っており、高度なスキルを持つ人材が育成されている背景もあります。
  • IT技術:インドネシアやベトナムやタイなどIT技術者が多い国でが、必要な技術を習得した技術者も多く存在していることから、日本国内だけで探すよりも、確保できる可能性は多くあります。

専門性の高い業務を外部に委託することで、国内で難しくなっている人材確保が実現でき、自社のリソースをコア業務に集中させることも可能になります。

2.3 柔軟な労働時間

日本との時差を利用することで、24時間体制で業務を進めることが可能になります。国内で残業対応や深夜作業を例えば、追加費用が必要になりますし、人材の確保も難しい状況です。
日本の夜間帯に海外の企業に業務を依頼することで、業務効率の向上や納期の短縮につなげることができます。

〇2.3.1 時差活用によるメリット
  • 開発期間の短縮:日本が夜の間に海外で開発を進めることで、開発期間を大幅に短縮することができます。例えば、日本のゲーム会社がアメリカのゲーム開発会社に夜間帯の開発を依頼することで、より早くゲームをリリースできるようになります。
  • 顧客対応時間の延長:海外にカスタマーサポート拠点を設置することで、24時間体制での顧客対応が可能になります。時間によってつなぐ拠点を変えることで、残業や深夜作業を行うことなく、24時間途切れない体制を確保することができます。。
  • 緊急時の対応力強化:システム障害などの緊急時にも、時差を利用することで迅速な対応が可能になります。例えば、日本企業のシステムに障害が発生した場合、夜間帯であっても海外のエンジニアに対応を依頼することができます。
〇2.3.2 時差活用における注意点
  • リアルタイムでのコミュニケーション:時差があるため、双方の業務開始/終了時の引継を、チャットツールやビデオ会議システムなどを活用して、こまめなコミュニケーションを取るように心がける必要があります。
  • 文化や商習慣の違い:国や地域によって、休日や祝日が異なるため、事前に確認して作業のスケジューリングをしておくことが重要です。

2.4 人材の確保

日本では、少子高齢化による人材不足が深刻化しています。特に、IT業界などでは、慢性的な人手不足に悩まされています。それ以外にも、建設、小売り、飲食、サービス、介護など、多くの業界で人材不足が課題にあっています。
そこで海外に目を向けることで、優秀な人材を確保できる可能性が広がります。

〇2.4.1 海外人材活用による人材不足解消
  • 優秀なエンジニアの確保:インドやベトナムなど、IT人材が豊富な国から優秀なエンジニアを採用することで、人材不足の解消に繋がります。これらの国では、政府がIT教育に力を入れており、優秀なエンジニアが数多く育っています。また、英語が堪能な人材も多いことから、グローバルなビジネス展開にも対応できます。
  • 多言語対応の強化:訪日外国人観光客の増加や海外進出に伴い、企業は多言語対応の必要性が高まっています。英語はもちろんのこと、中国語や韓国語、スペイン語など、様々な言語に対応できる人材を海外から採用することで、顧客満足度の向上に繋げることができます。
  • 新規事業立ち上げのスピードアップ:新規事業を立ち上げる際には、専門知識やスキルを持った人材が必要となります。海外には、日本には少ない専門スキルを持った人材が豊富に存在します。また自社内に無い人材を取り入れることで、新規事業の検討が活性化し、より良い検討をすることが可能になります。
〇2.4.2 海外人材採用における注意点
  • 言語や文化の違い:言葉や文化の違いから、コミュニケーションが円滑に進まないケースもあります。お互いの文化や商習慣を理解し、尊重し合うことが大切です。
  • 作業者への配慮:海外の人材はスキルを磨き、ステップアップしていくことに貪欲です。同じ業務を続けているだけでは、他の業務や会社へ移ってしまうリスクがあります。作業に習熟した作業者がいなくなると、生産性が低下しますので、業務先と言えど配慮をしながら良い関係を築いていくことが必要になります。

2.5 グローバル市場へのアクセス

海外企業とのネットワークを構築することで、グローバル市場への進出や海外展開を加速させることができます。現地の市場調査やマーケティング、顧客サポートなどを海外企業に委託することで、よりスムーズに進出できる可能性があります。

〇2.5.1 海外進出におけるメリット
  • 現地の市場情報収集:海外企業は、現地の市場に関する情報や顧客のニーズを熟知しているため、より的確な市場調査やマーケティング活動が可能になります。例えば、東南アジアへの進出を検討している場合、現地の市場調査会社に委託することで、現地の消費者の嗜好や競合状況などの情報を収集することができます。
  • 海外顧客への対応力強化:海外企業に顧客サポートを委託することで、24時間体制での対応や多言語対応が可能になり、顧客満足度の向上に繋がります。また、現地の言語、文化や商習慣に精通したスタッフが対応することで、よりきめ細やかなサポートを提供することができます。
  • ブランド認知度の向上:海外企業とのパートナーシップを通じて、現地のメディアに取り上げられたり、イベントに出展したりすることで、ブランド認知度の向上に繋がる可能性があります。また、現地の企業や消費者との信頼関係を築くことで、長期的なビジネス展開に繋がる可能性もあります。
〇2.5.2 海外企業との連携における注意点
  • 信頼できるパートナー選び:海外企業との連携においては、信頼できるパートナー選びが重要になります。実績や評判、企業文化などを事前にしっかりと確認することが大切です。また長期的な視点で、方向性を合わせておくことも大事になります。
  • 契約内容の明確化:業務範囲や納期、報酬、知的財産権の取り扱いなど、契約内容を明確に定めておくことが重要です。例えば、完全合意条項のように日本ではあまり見かけない条文を含むこともあります。

3. 海外業務委託の注意点

海外業務委託には、国内とは異なる様々なリスクや課題が存在します。成功のためには、これらの注意点を理解し、適切な対策を講じることが必要です。

3.1 コミュニケーションの課題

海外とのやり取りでは、時差や文化の違い、言語の壁などが原因で、コミュニケーションに問題が生じることがあります。小さな誤解、認識違いが大きなトラブルに発展することもあるため、注意が必要です。

〇3.1.1 言語の壁

異なる言語を母国語とする場合、正確な意思疎通が難しい場合があります。特に、技術的な用語やニュアンスを含む表現は、誤解を生みやすいです。また、契約書や仕様書など、重要な書類を正確に理解することも重要になります。

〇3.1.2 コミュニケーションスタイルの違い

国や文化によって、コミュニケーションスタイルは大きく異なります。例えば、日本では暗黙の了解や行間を読む文化がありますが、海外では明確な表現が求められることが多くあります。また、国によっては、意見の相違を率直に表現することが求められる場合もありますので、委託先の国に合わせて対応をする必要があります。

〇3.1.3 時差

海外と日本では時差があるため、リアルタイムでのコミュニケーションが難しい場合があります。これは、進捗報告や問題発生時の対応に遅れが生じる懸念がありますので、定期的なコミュニケーションの計画と、不定期のコミュニケーションのルートを確保していくことが重要になります。

3.2 文化の違い

文化の違いは、ビジネスのあらゆる場面で影響を与える可能性があります。商習慣や価値観の違いを理解し、相手に配慮することが重要です。

〇3.2.1 商習慣や価値観の違い

国や地域によって、商習慣や価値観は大きく異なります。例えば、納期や品質に対する考え方、契約に対する意識などが異なる場合があります。日本では納期厳守が重視されますが、海外では柔軟な対応が求められる場合もあります。また細かいところでは、色彩感覚も違うため、デザイン面での違いもあります。

〇3.2.2 宗教や祝祭日の違い

海外では、宗教や祝祭日が日本とは異なります。業務スケジュールに影響を与える可能性があるため、事前に確認しておく必要があります。例えば、イスラム教では、金曜日は集団礼拝のため、業務時間が短縮される場合があります。

3.3 契約と法的問題

海外との契約では、日本の法律とは異なる法律が適用される場合があり、注意が必要です。契約内容やトラブル発生時の対応について、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。

〇3.3.1 準拠法と裁判管轄

海外との契約では、どの国の法律を適用するか、また、万が一トラブルが発生した場合、どこの国の裁判所で解決するかを明確にしておく必要があります。国内企業同士の契約ではそこまで調整事項にならない印象ですが、海外の企業との契約では調整が必要になります。

〇3.3.2 知的財産権の保護

海外では、知的財産権に対する意識が低い国や地域も存在します。委託先が、開発した技術やデザインなどを無断で使用することを防ぐために、契約で知的財産権の帰属を明確にしておく必要があります。

3.4 品質管理の難しさ

海外とのやり取りでは、品質管理が難しい場合があります。品質基準の違いや品質に対する意識レベルの違い、コミュニケーションの問題など、さまざまな要因が考えられます。できるだけ明確に基準を伝えて、

〇3.4.1 品質基準の違い

国や地域によって、品質に対する基準が異なる場合があります。例えば、日本では高い品質が求められる製品でも、海外では許容範囲内とみなされる場合もあります。特に日本は、当たり前の感覚で高い品質が求められますので、品質基準の違いによってトラブルが発生する可能性があるため、注意が必要です。

〇3.4.2 進捗管理の難しさ

海外とのやり取りでは、納期遵守に対する意識が弱い文化の国もあり、進捗管理が難しい場合があります。納期遅延は対応が遅れると巻き返しが難しくなりますので、早期に発見できるよう、両社で進捗管理できるデータを共有し、ある程度リアルタイムに進捗を記録/確認できるようにしておくことが重要です。

3.5 その他のリスク

海外への業務委託には、上記以外にも、さまざまなリスクが存在します。これらのリスクを理解し、適切な対策を講じることが重要です。

〇3.5.1 為替変動リスク

海外との取引では、為替変動による思わぬ損失が発生する可能性があります。為替レートが大きく変動した場合、当初予定していたよりもコストがかかる場合がありますので、為替予約を活用したり、一定以上のレート変動があった場合は調整できるような契約にしたりと、対策を講じておくことも必要になります。

〇3.5.2 政治経済状況の変化

海外では、政情不安や経済危機など、予期せぬ事態が発生する可能性があります。これらの事態が発生した場合、業務が中断されたり、契約が解除されたりする可能性がありますし、現地の法律や規制が変更される可能性もあり注意が必要です。できるだけリスク発生時にどのような対策をしておくか、イメージをしておくことが重要です。

〇3.5.3 自然災害リスク

海外では、日本とは違った災害のリスクが発生することがあります。雨季や乾季、地震や台風など、自然災害が発生するリスクの時期や特徴などを理解し、必要に応じて対策をする必要があります。

3.6 セキュリティとデータ保護

海外に業務を委託する場合、セキュリティとデータ保護は日本の委託先よりも注意が必要です。委託先が適切なセキュリティ対策を講じていない場合、情報漏えいやデータの改ざん、紛失などのリスクがあります。

〇3.6.1 情報漏洩リスク

海外に個人情報や機密情報を含むデータを提供する場合、情報漏洩のリスクが高まります。委託先が適切なセキュリティ対策を講じていない場合、情報が漏えいし、悪用される可能性があります。また、委託先の従業員による内部不正も考えられます。
秘密保持契約書(NDA)の締結をすることはもちろん、作業者のPCのセキュリティ対策、通信の安全性、データ保管の保管場所、従業員への教育など、細かく確認をしていく必要があります。

〇3.6.2 個人情報保護法の遵守

海外では、日本の個人情報保護法とは異なる法律が適用される場合があり、注意が必要です。個人情報を含むデータを渡さないで作業ができる場合はいいですが、そうでない場合は、事前に入念な確認を行ってください。

4. 成功する海外業務委託のためのステップ

海外への業務委託を成功させるには、事前の計画と適切なプロセスが不可欠です。ここでは、成功に導くためのステップを詳しく解説します。

4.1 目標設定と業務範囲の特定

〇4.1.1 明確な目標設定

まず、海外業務委託によって何を達成したいのかを明確にする必要があります。コスト削減、専門性の向上、納期の短縮など、具体的な目標を設定することで、次に検討をしていく、適切なパートナー選定や業務範囲の決定がスムーズに進みます。

例えば、コスト削減が目標であれば、どの程度の削減を目指すのか、具体的な数値目標を設定します。専門性の向上であれば、どのような専門知識やスキルを持つ人材を何名求めているのかを明確にしていきます。

〇4.1.2 業務範囲の明確化

次に、どの業務を海外に委託するのかを具体的に決定します。業務内容、必要なスキルレベル、納期、成果物などを明確に定義することで、後々の認識違いなどの手戻りを避けることができます。また、業務範囲が明確になると、機密情報や個人情報の取り扱いについても、必要性を検討することができます。

例えば、ウェブサイト制作を海外に委託する場合、デザインのみを委託するのか、コーディングやSEO対策なども含めるのかを明確にします。また、納期や成果物の提出形式(ウェブサイトのURL、デザインデータのファイル形式など)も具体的に定めていきます。

4.2 適切なパートナーの選定

〇4.2.1 実績と評判の確認

海外には多くの業務委託先が存在しますが、信頼できるパートナーを選ぶことが重要です。実績や評判をウェブサイトや口コミサイトで確認したり、打合せを通じて直接確認したり、品質や納期に対する評価を収集していきながら、企業規模や専門分野、対応言語なども考慮し、自社のニーズに合致するパートナーを選びます。

〇4.2.2 コミュニケーション能力の評価

円滑なコミュニケーションは、プロジェクト成功の鍵となります。対応している言語はもちろんのこと、文化的な背景を理解し、円滑な意思疎通を図れるパートナーを選びましょう。試用期間を設け、実際のコミュニケーションを通して、相互の理解度や信頼関係を築けるかを確認することも有効です。

例えば、ビデオ会議やチャットツールなどを活用し、実際にコミュニケーションを取ってみることで、言語能力や文化的な違いによる誤解が生じないかを確認します。また、試用期間中にテストプロジェクトを実施し、パートナーの作業態度や問題解決能力を評価するのも有効です。

〇4.2.3 契約内容の確認

契約書は、双方の権利義務を明確にするために欠かすことはできません。料金体系、支払い方法、知的財産権の帰属、秘密保持義務、契約解除条項などを事前に確認し、不明点があれば専門家に相談しましょう。
また、契約書は日本語と英語など、双方で理解できる言語で作成することが望ましいです。例えば、料金体系は、時間単位で請求されるのか、プロジェクト単位で請求されるのか、成果物に対して請求されるのかを確認します。

4.3 契約と合意

〇4.3.1 契約書の締結

業務内容、納期、報酬、知的財産権の取り扱いなど、双方にとって重要な項目を網羅した契約書を作成し、署名・捺印を行います。契約書は、後々のトラブルを避けるためにも、詳細かつ明確に記載することが重要です。不明点や懸念点は、必ず事前に解決しておきましょう。

例えば、業務内容を詳細に定義する際には、想定される作業内容を具体的に列挙したり、成果物の仕様書を添付したり、品質基準や不具合時の対応を明確にしたりします。また、知的財産権の帰属については、委託元と受託先のどちらに帰属するのか、利用許諾の範囲はどうなるのかを明確に定めます。

〇4.3.2 機密保持契約の締結

業務委託に伴い、企業秘密や個人情報など、重要な情報を取り扱う場合は、機密保持契約を締結します。情報漏洩のリスクを最小限に抑え、安心して業務を委託できる環境を整えましょう。機密情報の範囲や取り扱い方法、違反時の罰則などを明確に定めることが重要です。
例えば、機密情報の定義を明確にし、具体的な情報の種類(顧客情報、技術情報、営業秘密など)を列挙します。

4.4 実施と管理

〇4.4.1 定期的な進捗確認

業務の進捗状況を定期的に確認し、スケジュール通りに進んでいるか、品質に問題がないかを把握します。テレビ会議やチャットツールなどを活用し、こまめなコミュニケーションを心がけ、問題が発生した場合は、迅速に対応策を協議しましょう。
進捗状況を共有するためのツールや報告の頻度などを事前に決めておくことが重要で、進捗については早期な対策が求められるので、ある程度リアルタイムに確認できることが望ましいです。

例えば、双方とも確認できる共有のデータを共有しつつ、タスクの進捗状況や課題を共有します。また、定期的なビデオ会議やチャットでのやり取りを通じて、密なコミュニケーションを図り、進捗状況や問題点を早期に対策していきます。

〇4.4.2 品質管理の徹底

海外業務委託では、品質管理が重要な課題となります。検収基準を明確化し、納品物に対して厳格なチェック体制を構築しましょう。必要に応じて、試作品やテスト期間を設け、品質を確認することも有効です。
品質に問題がある場合は、パートナーに改善を要求し、納得のいくまで修正を求めることが重要です。中長期的な関係を築いていくことを考えると、委託先のメンバーを教育しながら作業を進める意識を持つことも大切です。

〇4.4.3 文化や商習慣の違いへの配慮

国や地域によって、文化や商習慣が異なることを理解し、パートナーとのコミュニケーションにおいては、相互理解と尊重を心がけましょう。時差や祝日なども考慮し、スムーズな業務遂行に努めることが重要です。疑問点があれば、遠慮なく質問し、誤解を避けるようにしましょう。

例えば、時差を考慮し、会議や連絡の時間帯を調整します。また、宗教や文化的なイベント(ラマダン、旧正月など)を事前に把握し、業務に影響が出ないように配慮します。

4.5 評価と改善

〇4.5.1 成果の評価

業務完了後には、当初設定した目標に対して、どの程度の成果が得られたのかを評価します。定量的なデータだけでなく、品質や納期、コミュニケーションなど、定性的な側面からも評価を行いましょう。評価結果を基に、次回以降の業務委託に活かしていくことが重要です。

例えば、コスト削減を目標としていた場合、実際にどの程度のコスト削減が実現できたのかを金額で算出します。また、品質や納期についても、目標値に対する達成度を評価します。さらに、コミュニケーションや問題解決能力など、定性的な側面についても評価を行い、総合的に判断とします。

〇4.5.2 プロセス改善

業務委託のプロセス全体を振り返り、改善点がないかを検討します。コミュニケーション方法、進捗管理体制、契約内容など、問題点があれば、積極的に改善策を講じましょう。継続的なプロセス改善を通じて、より効率的かつ効果的な海外業務委託を実現できます。

例えば、コミュニケーション不足を感じた場合、コミュニケーションの頻度を増やす、プロジェクト管理ツールを導入するなどの対策を検討します。また、品質に問題があった場合は、品質基準の見直しや検収体制の強化などの対策を講じます。 改善活動は、委託先からもアイデアを出してもらうようにし、双方に良い形を模索することが大切になります。

 

まとめ

海外業務委託は、適切な手順を踏むことで、企業の成長を大きく後押しする可能性を秘めています。成功事例や失敗談などを参考に、自社にとって最適な方法を模索していくことが重要です。日本国内での人材不足は加速する一方ですので、事業を維持/拡大するためには、人的リソースの確保が必要になります。 海外への業務委託は、コスト削減、専門性の高い技術の活用、柔軟な労働時間の確保など、多くのメリットがありますので、一つの選択肢として有効です。

しかし、コミュニケーションの課題や法的問題、品質管理の難しさなど、克服すべき課題も存在します。 成功のためには、文化の違いを理解した上でのコミュニケーション、法的準備の徹底、厳格な品質管理が重要です。これらのポイントを押さえ、計画的に進めることで、海外業務委託を成功に導くことができます。

当社では、ミャンマーでのアウトソーシング事業を行っておりますので、ご興味がある方はスタッフまでお気軽にお問合せください。

それではまた。

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アンドファン株式会社
中小企業診断士 
田代博之

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