オフシア開発の委託先として、コスト削減しながらも品質を求める企業にとって、ミャンマーへの委託は魅力的な選択肢となっています。しかし、コストと品質を両立させるためには、押さえておくべきポイントがあります。
本記事では、ミャンマーのオフシア開発市場の概要から始まり、委託先の選定や関係構築、コスト削減と効率化の戦略、品質を確保するためのポイントを、失敗を避けるための注意点まで幅広く解説していきます。
ミャンマーでのオフシア開発に成功するためのポイントを知りたい方は、この記事の続きをお読みください。
ミャンマーのオフシア開発概要
ミャンマーにおけるオフショア開発市場は、近年とても注目を集めています。特に為替レートの影響や周辺各国の人件費高騰により、コスト面でのメリットを求めて、ミャンマーへ委託を検討するケースが増加しています。ヤンゴンやマンダレーなどの都市部では、ITインフラの整備も進んでいることから、スタートアップから大手企業まで多くのオフショア開発会社が設立されています。
コストパフォーマンスの魅力
ミャンマーにおけるオフショア開発の最大の魅力は、そのコストパフォーマンスの高さだと考えます。周辺各国のオフショア開発先と比較しても、労働力コストがまだまだ安価であり、多くの労働力を確保することも可能です。低コストで委託できることは、限られた予算内で最大限の成果を得ることを可能にしていますし、またコストだけでなく、多くの人材を確保できる面も、ミャンマーのオフショア開発の大きな魅力の一つです。
品質を確保するためのポイント
オフショア開発において品質を確保するためには、いくつかのポイントがあります。まず、信頼できる開発会社の選定が重要です。品質確保のための取り組みはもちろんのこと、過去の実績や口コミ、実際に提供しているサービスの質を確認する必要があります。また作業進行にあたっては、定期的なコミュニケーションを確保し、進捗状況を把握することが重要で、ITツールも活用してチームとの適切なコミュニケーションをすることで、適切なフィードバックを行い、品質管理を徹底することができます。
失敗しないための注意点
失敗を避けるためには、検討段階から注意をしておくことが重要です。例えば、期待する成果を明確にして開発会社と共有したり、文化的な違いや時間差によるコミュニケーションの遅延や齟齬への対処を検討したり、適切なツールの使用や相互理解を深めたりと、契約前から対話や準備を行うことが求められます。また、情報セキュリティや知的財産権の保護に関しても、契約前に詳細を詰め、お互いに納得の上で作業を進めることが大切です。
選定プロセスとパートナーシップの構築
ミャンマーにおけるオフショア開発で、コストと品質を両立させるために、開発パートナーの選定とパートナーシップの構築は成功の鍵を握ります。単純に作業を委託するだけでなく、信頼できるパートナーを見つけ、効果的なコミュニケーションを確立し、長期的な関係性を築くことができると、作業の効率性と成果を飛躍的に向上させることが可能です。
信頼できる開発パートナーの選び方
信頼できる開発パートナーを選定する際には、その企業の取り組み、実績、技術力などの情報を集めることも必要ですが、一番大事になるのは、委託先企業の価値観や考え方が自社と合致するかどうかを見極めることになります。仮に実績が多くあったとしても、目指すところが違ったり、そもそも長期的なパートナーを目指す気がなかったりすれば、調整は難航していきます。 また、契約条件、作業体制、納期や費用に関する透明性も評価基準の一つとなると思います。加えて、選定プロセスでは候補となる企業との面談を重ね、コミュニケーション能力や問題解決スキル、メンバーの定着率、窓口となるメンバーの言語レベルも見極めていくことで、より良いパートナー選びが実現できると思います。
コミュニケーションの秘訣
効果的なコミュニケーションは、開発パートナーとの良好な関係を築く上で不可欠ですし、作業を滞りなく推進していくためにも重要になります。今は、ビデオ会議やチャットツールを活用して、定期的なミーティングとリアルタイムのコミュニケーションができるようにするとスムーズです。また窓口の言語レベルや、誰宛に連絡を取るのかで、会話がいいのがテキストでのやり取りがいいのかを選択していくと、よりスムーズにコミュニケーションが取れます。
長期的な関係性の築き方
長期的な関係を築くには、初期段階から互いに信頼と尊敬を基盤とすることが必要になります。要望や期待する成果を明確にする必要はありますが、委託先だからと一方的に無理な要望を押し付けるのではなく、相手の状況も見ながら最適な選択肢をとっていくことが大切になります。また将来の展望やアイデアなど、互いに価値を提供し続けることで、長期的に両者にとって有益なパートナーシップを維持できます。 併せて、一度作業に区切りがついたら、成果やプロセスを振り返り、より効率的に作業を行うために改善点を整理することが有益です。建設的な改善活動を続けていくとは、相互にとってメリットが大きいので、継続的に続けていくことで大きな差を生み出すことができます。
コスト削減と効率化
オフショア開発おいて、ミャンマーをはじめとする特に人件費が安価な国へ委託すること の一番の狙いは、もちろんコスト削減になると思います。日本国内だけでなく、周辺各国の人件費の高騰により、ビジネスが成り立たないレベルになってきているといった話を聞きこともあります。 委託することでコスト的なメリットはありますが、さらにメリットを享受するためのポイントを整理していきます。
コスト削減の戦略
コスト削減を実現するための戦略は多岐にわたります。プロセスの見直しや非効率な部分の排除も必要で、業務改善の基本はECRSと呼ばれ、Eliminate(排除)、Combine(結合と分離)、Rearrange(入替えと代替)、Simplify(簡素化)の視点と順番で検討していくことが必要になります。 業務改善後でも必要な作業は、作業内容によって内製か、オフショア開発含めた外部委託を検討していくことになります。観点として、自社の強みや価値を生み出す作業、高度な技術や判断が必要な作業、作業内容が毎回変化する作業、単発で少量しかない作業などは、外部委託には向かないため、自社内で実施することが望ましいと考えます。 このように、検討の順序を踏まえて、委託する業務の選択を行うことがコスト削減に繋がります。
ITツールを活用した改善
さらにコスト削減や効率化を図っていくために、ITツールの活用は重要になります。現在でも、コミュニケーション面ではビデオ会議やチャット、作業の管理面では作業管理ソフト、作業内容によってはAIOCRなどを活用することもあります。今後、技術の進歩に合わせて今よりも効率的なツールが出てくることは、容易に想像がつきます。例えば昨今では、生成系AIの台頭で、様々な業務のやり方が変わってきています。これらの新しい技術を取り入れていくことで、今よりもさらにコスト削減に貢献することも考えられますので、積極的に活用していく必要があります。
作業管理と品質保証
作業管理と品質保証は、プロジェクトの成功において必要な要素になります。オフショア開発の目標達成に向け、コスト削減だけでなく、予定した期間、予算、品質で、作業が行えるように、作業管理のプロセスが必要になります。また、リスク管理と対策、進捗の管理と報告も、目標達成を確実なものとするために重要な役割を果たします。
効果的な作業管理方法
作業管理を効率的に行うためには、目標設定、役割と責任の割り当て、リソースの適切な配分が必要になります。開発方法の手法には、アジャイル、スクラム、ウォーターフォールなどがあり、作業の種類や目標に応じて最適な方法を選択する必要があります。 ただツールや手法を中心に考えるのではなく、リアルタイムと定期的なミーティングとを合わせて、適切にコミュニケーションを確保することで、想定外が発生した際にも迅速に対応する体制を整えることがとても重要になります。
リスク管理と対策
リスク管理は、想定されるリスクが起きないように未然に対策を検討し、実行することをいいます。リスクの特定、評価、そして対策を検討する中で、できるだけリスクを発生させないように取り組みを実施することが重要です。 事前にすべてのリスクを洗い出して対策をすることは現実的ではありませんので、基本的な対策は講じつつも、リスクというよりも異変を素早く検知できる仕組みを検討して、察知したときにどのようにエスカレーションするかの方法と窓口を決めておくことが、現実的な対応になると思います。
進捗管理と報告
進捗管理は、作業の目標/予定に対して現状がどのように進んでいるかを定期的に確認し、その情報をチームメンバーやステークホルダーと共有することを言います。進捗報告には、完了したタスク、進行中のタスク、未着手のタスク、そして発生した問題とその対策を含めることが推奨されます。報告の形をカチっと決めてしまうと、予定された情報しか出てこなくなってしまうため、異変を早期に察知するためにも、コミュニケーションを意識して会話の時間も設けることが重要になります。オフショア開発を成功に導く結論
オフショア開発を成功に導くには、コストと品質の両立が鍵となります。ミャンマーをはじめとする低コストな開発先を選定する際には、信頼できるパートナーを見つけること、綿密なコミュニケーションを心がけることが重要になります。また、効果的なコスト削減と効率化のためには、内製と外部委託の整理と、適切なITツールの選定と活用が肝になります。最後に
ミャンマーへのオフショア開発は、心象的には不安な面が多いように感じています。特にニュースを見ていると治安や政治の安定性に懸念が出ますし、インフラ面では電力供給にはまだ不安定な面があります。ただ人件費が安価な国へオフショア開発をすることは、コスト削減の面では、とても有効な戦略です。心象的な壁であれば、現地へ訪問することで現実を直視したうえで検討/判断ができるので、当社ではおすすめをしています。実際に当社のお客様も、多く現地へ訪問しています。 ミャンマーへの委託をお考えのお客様であれば、現地のアテンドなど、視察のフォローも行っておりますので、ご興味がある方はスタッフまでお気軽にお問合せください。
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アンドファン株式会社 中小企業診断士
田代博之