前回の記事同様に、中小企業白書から中小企業の現状を見ておきたいと思います。
白書は、中小企業庁から発行されていて、施策や現状に対する多様な情報を見ることができます。以前に「白書からみる中小企業の海外展開あれこれ」の記事で中小企業の海外展開に対する状況や、今後の見通しを整理しました。
今回は、2022年4月26日に発表された「2022年度版中小企業白書」から、海外展開や越境ECについてみていきたいと思います。
中小企業の海外展開
日本国内の人口減少に伴って日本の市場縮小が懸念されている中で、海外需要の取り込みは大事になりますが、近年好調だったインバウンド需要はコロナウィルス感染症の影響を受け大幅に減少しています。
コロナウィルス感染症の影響が収まるにつれて徐々に増加傾向になると想像しますが、元の水準に戻るのかは、少し疑問を感じます。
インバウンド需要が期待できないとなると、別の形で海外展開を検討する必要がありますが、状況として直接輸出や直接通しの割合は横ばいの傾向です。多くの企業にとっては海外展開を行う意思は高くありません。
海外展開における課題は、海外展開を既にしている企業でも、していない企業でも「販売先の確保」の割合が多くなっています。この点は数年前の課題感から、大きく変わっていないことが見て取れます。
越境ECの状況
近年、ECの市場規模は拡大を続けていて、国を超えた取引(越境EC)も活発になってきています。越境ECの市場規模の推移を見てみると、特に対中国向けでは2014年の3倍ほどに大きくなってきています。
実際にECを活用している企業の中で、越境ECを利用している企業を見てみると、2016年から増加していて、約半数の割合と思っているより高い数値になっています。これはそもそもECを活用していない企業が入っていないためですが、それでも越境ECを活用している企業が増えていることは間違いありません。
近年では、Amazonなどのモール型やShopifyなどの自社型など、多くのプラットフォームが出てきています。それ以外にも国ごとに強いプラットフォームがあったり、特定の商品ジャンルに強いプラットフォームがあったりと、様々です。自社の目的に合わせて、最適なプラットフォームを選んでいくことが大事になると思っています。
最後に
今後、長い目で見ると人口減少していきますので、日本国内だけを相手にしていても市場が減少していくことが予想されます。上手に外国需要を取り込むためには、越境ECはとても有効な手段だと思います。
とはいえ、いきなり越境ECと言われても壁を感じる方が多いのも事実だと思います。世にあるプラットフォームを利用すると、どこまでやってくれて自社何をする必要があるかを調べることが、第一歩にあると思います。
弊社では越境ECに対するご相談も承っていますので、ご興味あればスタッフまでお声がけください。
弊社のサービス紹介
それではまた
アンドファン株式会社
中小企業診断士 田代博之