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IT導入補助金とローカルベンチマークの関係性を考えてみる

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kennkoushinndan

おはようございます。

IT導入補助金2次公募終了し、残すところは予定されている3次公募のみとなりました。申請期間(予定)は2018年8月中旬~2018年10月上旬となっておりますので、これを機にIT導入をお考えの企業様はお見逃しの無いようにしてください。

さて、このIT導入補助金を申請する際には、自社の経営状態を把握するツールとして「経営診断ツール」の利用が必須となっています。この「経営診断ツール」では、ローカルベンチマーク(通称:ロカベン)が使用されていて、財務情報(6つの指標)と非財務情報(4つの視点)が盛り込まれています。

余り聞き馴染みがないかもしれませんが、今回はこのロカベンについて思うところを記載しながら、なぜ採用されているのかを考えていきたいと思っています。

ローカルベンチマークとは?

ローカルベンチマークは2016年3月に経済産業省が公表したもので、HPでは以下のように記載されています。人間でも健康診断を定期的に行うと思いますが、その企業版のイメージで紹介されています。

ローカルベンチマークは、企業の経営状態の把握、いわゆる「健康診断」を行うツール(道具)として、企業の経営者等や金融機関・支援機関等が、企業の状態を把握し、双方が同じ目線で対話を行うための基本的な枠組みであり、事業性評価の「入口」として活用されることが期待されるものです。

引用:経済産業省 HPより抜粋

ローカルベンチマールHP:経済産業省

このローカルベンチマークには第1段階、第2段階が設けられていて、大まかに言うと第1段階は地域の経済/産業をターゲットにしているのに対し、第2段階では個別企業をターゲットにしている点で大きく違いがあります。本記事では個別企業に向けたローカルベンチマーク(第2段階)に対して話をしていきます。

ローカルベンチマークのポイント

私なりのポイントになりますが「企業の状態を把握する枠組み」「双方向の対話をして、事業性評価の入口として活用する」ことで、地域企業の「稼ぐ力」を向上させる点だと思っています。以下にポイントごとにまとめてみます。

企業の状態を把握する枠組み

企業の状態を把握する方法として「財務情報」「非財務情報」があります。財務情報は過去から現在を、非財務情報は過去から現在と併せて将来の可能性を評価するものと位置付けられています。

財務情報は、決算書から得られる情報をベースに分析を行いますが、その中でもベンチマークとして特に有効と考えられる6指標が選ばれています。また一部の計算式に注意書きがされています。これは従業員を減らせば指標が良くなるのは好ましくない為と言われていますが、なぜ計算式自体を直さないかは不明です。

<財務情報>

  • 売上高増加率:売上持続性:(売上高/前年度売上高)-1
  • 営業利益率:収益性:営業利益/売上高
  • 労働生産性:生産性:営業利益/従業員数(注1)
  • EBITDA有利子負債倍率:健全性:(借入金-現預金)/(営業利益+減価償却費)
  • 営業運転資本回転期間:効率性:(売上債権+棚卸資産-買入債務)/月商
  • 自己資本比率:安全性:純資産/総資産
    (注1)本来、「従業員の単位労働時間あたり」の付加価値額等で計測すべき指標

各指標については、業界平均値と比較が行われ総合評価点として算出されます。企業の状態を外部から理解するためには、数字で示されているだけに分かりやすくなっています。その後は、決算書に直接出てこない非財務情報を捉えて行きます。

<非財務情報>

  • 経営者への着目
    -経営者自身のビジョン、経営理念、後継者の有無など
  • 事業への着目
    -事業の商流、ビジネスモデル、市場規模、シェア、強みや弱み、ITの能力など
  • 企業を取り巻く環境/関係者への着目
    -顧客リピート率、主要取引先、従業員定着率、平均給与、取引先金融機関など
  • 内部管理体制への着目
    -組織体制、社内会議の実施状況、経営目標の共有状況、人事育成システムなど

非財務情報部分は企業の事業性を理解する上では欠かせないですし、財務情報の裏付けとなる部分なのでとても重要になります。但し、数字で表すなど定量化が難しい部分もあるので、ここを理解しようと思うと企業との「対話」が必要になってきます。

双方向の対話をして、事業性評価の入口として活用する

事業性評価とは、金融庁が重点施策として進めている施策で、金融機関に対して取引先の事業性を適切に評価し保証や担保に頼らない融資や、必要に応じた支援/助言を行うように求めています。金融機関ごとに違いはあると思いますが、公表されている評価シートの項目をみると、ローカルベンチマークの非財務情報の項目と共通する部分があります。

財務情報を指標ごとに比較して企業の現状を把握するだけであれば、決算書があれば事足ります。しかし、非財務情報を理解しようとすると、企業との対話を通じて行うことが必要になります。とはいえ、何も道しるべが無いと対話がし辛いこともあると思いますので、このローカルベンチ―マークを利用することが期待されています。

特に中小企業においては、決算書を見ているだけではその企業の本当の姿を見ることは難しい部分があります。その企業の事業性を含めて理解することは大切だと思っていますし、経済産業省、金融庁としても「財務諸表に表れない資産」を重視しなさいと言っているのだと考えられます。

IT導入補助金との関わり

ではなぜ、このIT導入補助金の経営診断ツールにローカルベンチマークが使用されているかという点ですが、ただ単に同じ経済産業省が推進しているからということもあると思うのですが、それ以外にも理由があると思っています。

このIT導入補助金は昨年よりも予算が増えて(5倍)、想定では対象となる企業数も増加しています。経営課題を解決するために積極的にITを活用して、生産性の向上、収益力の向上を行って欲しいと思いますし、それだけIT化は有効なのだと思います。

しかし、実際のIT導入の現場に目を向けると、顧客の課題やその後の活用を見ることなく、補助金があることを機会として導入を進めてしまっているケースが多いのではないかと想像しています。もちろんベンダー側も営利事業なので仕方がない部分はあると思いますが、企業の為には注意しなさいということなのだと感じています。

特にIT導入補助金は、ITツールを提供する企業がIT導入支援事業者として登録され、補助金申請の窓口も行っています。普段、顧客企業の事業性理解まで行うことが少ない会社が多いと思います。そこで自社で本当に必要なのかを考えたり、ベンダー側で課題解決が出来るのかを考えたりする機会を作るために、ローカルベンチマークを利用した取り組みが重要視されたのかもしれません。

最後に

IT導入もそれ自体が目的ではなく、一つの手段(ツール)です。この手のツールの話になると、導入することが目的となってしまい、本末転倒な結果になってしまう懸念があります。
同様に、ローカルベンチマークも「状態を把握する仕組み」「対話をする入口」としての利用を想定しているため、作成過程を重視しているように思います。

改めて自社を見直す機会は、人間にも企業にとっても重要です。このIT導入補助金で使用している「経営診断ツール」は、無料でどなたでも利用することができますので、ご興味ありましたらご利用してみてください。

それではまた。

アンドファン株式会社
中小企業診断士 田代博之

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