おはようございます。

本日もミャンマー視察でお会いした、ミャンマーに進出して頑張る日本の中小企業をご紹介致します。今回ご紹介するのはミャンマーでオフショア開発を行っているUTS Myanmar Co.,Ltdさんです。

製造業や開発会社など、人件費コストが大きい業界は「安価な労働力」のメリットを享受するために、ミャンマーへ進出するケースがあります。しかし、額面上の給与額が安いからといって本当にコスト削減の効果があるのか、逆に効果を出すにはどのようにする必要があるかなどを、ミャンマーへ常駐している現地ブランチマネージャーの柴田様にお話をお伺いしました。

 

事業の概要

日本本社のオフショア開発先として、主に派遣業界向けのシステム開発を受託されています。現状は納期的に厳しくない案件、リスクが少ない案件を中心に対応し、言語はC#、C++、PHPを主に使用。また空き時間を見つけて、静脈認証を利用した勤怠管理システムの自社開発などもされています。

日本から駐在しているメンバーは柴田さんのみで、大学でITを勉強した人材を現地採用し、現在は開発者7名の体制を構築されており、これから開発者3名とマネージャークラスの人材の採用を予定しています。採用は大学でITを勉強した方のみとし、採用時には数学とプログラムのテストを行い、着任迄に日本語を半年、プログラム教育を半年の計1年を費やし、人材教育を行っています。

〇会社HP:UTS Myanmar Co.,Ltd

ミャンマー進出のキッカケ

オーナー社長が海外拠点を持ちたかったことと、ミャンマーに精通している会社とご縁があったこともあり、ミャンマーが初めての海外拠点として決断されたそうです。

柴田さん自身はちょうど会社7年目の時期で、キャリアの壁を打破するために自ら志願してこの地に渡ったそうです。2019年4月に事業が順調であれば日本に戻る計画もあるようですが、「日本が合っていない」とのコメントもあり、明確な決断はされていないように感じます。後述するように対応が必要な業務量が多く、現状は会社と自宅の往復がほとんどであまり外に出られていないようですが、「色々外に出ていれば楽しい国だと思う」とお話頂きました。

進出の苦労話など

ミャンマーの大学にPCが普及したことで、人材のレベルは上がっている様子。しかし、Facebookの普及により人材募集への応募は多いものの、自社で用意している採用テストを行うと採用水準に至っている人材はまだまだ少ないため、人材確保には苦労しているとのことです。また過去には3名の採用枠に60名が応募するなど、日本のIT企業に対しある種ブランドのようなものはあるようです。中途採用では能力は高いが「他社で上手くいかなかった人材」であるリスクがあるため、新卒採用を中心に行っているとのことです。

ミャンマーでは、大学進学をする人は女性の方が多く、採用後も女性の方が優秀な方が多いと。日本とは違った嫉妬などがあり、人間関係には配慮を行っているそうです。いい人材が退社されることが一番怖く、今回マネージャーを採用したのは、現地メンバーによるマネージングを実現することで人材定着に繋げることが狙いとのことです。

ミャンマー人材は暗記が得意な面はあるが、逆に新しいことへの対応や自ら考えることへの対応は出来ていないため、仕様書や手順書の準備が必要になるが、これを準備することと自身で対応してしまうこととのバランスが難しいようです。また自分ができる事は余計に記述したり、細かいところ(例えばドットずれ)などは気にしないことがあったりと、プログラムコードの品質にバラツキがあり、そのためすべてのコードを柴田さんが最終チェックを行う必要があるため、業務が多くなってしまっているそうです。

敬虔な仏教徒は仕事もまじめにこなす一面もあるようですが、反面、目上の人を立てすぎて質問をしてこないなどの苦労もあるようです。勤務時間は9:00~17:00で、今はシステムを利用して勤怠を管理しているが、休日の種類が多いため配慮が必要なことには苦労したそうです。

今後の展開

本社は、ミャンマーでのオフショア開発を拡大していきたい意向があるが、人材の確保/定着と教育には時間がかかるため、難しさもあるようです。またコスト削減による投資対効果を出すためには、(今より大きい)ある程度の規模は必要に感じていて、そのために良い人材の確保を続けて行きたいとお話頂きました。

お話をお伺いして

一番印象的だったのが、オフィスを拝見すると整理/整頓が行き届いていて、日本の開発会社のように机やオフィス内にモノがない点でした。当り前のことのように思えても、意外とできていない会社も(日本でも)多く、恐らく整理整頓をしっかりと教育されているのだと思います。

 

お話をお伺いする中で、現地人材のコスト面を見れば安価なのかもしれませんが、額面に出てこない苦労が多いのだと、改めて感じさせて頂く機会になりました。この辺りは本社から数字だけを見ていても見え辛いため、海外進出でよく言われる、本社とのコミュニケーションを綿密に取ることが重要になってくるのだと思います。
特に中小企業では、経営リソースが限られているため、採用や教育などに余計なコストを発生させないために、そこで働く「人」のことを考え、きめ細やかな対応を行っていくことが必要になるのだと考えます。

柴田様、今回は貴重なお話をありがとうございました。
次回もミャンマーでお話を伺った会社さんを、ご紹介させて頂きます。
それではまた。

アンドファン株式会社
中小企業診断士 田代博之