田代 博之
AIOCRはOCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)にAI(Artificial Intelligence:人工知能)を組み合わせた技術となります。AIOCRは、紙の書類や手書きの文字をスキャンし、デジタルのテキストデータに変換を行います。また高度な学習能力を持ち合わせており、様々なフォーマットや手書き文字にも対応できるように進化しています。この進化が、ビジネスプロセスの効率化、コスト削減、高速処理などに大きく貢献することが期待されています。
AIOCRの最大の特長は人工知能による学習能力にあります。例えば過去のデータからパターンを学習し、認識精度を徐々に高めていくことができます。AIOCRは、書類のスキャンやデータ入力の自動化はもちろんのこと、フォントやレイアウトが複雑な文書であっても高い正確性でテキストを抽出することが可能です。さらに、手書き文字や歪んだ文字など、従来のOCR技術では難しかった認識も、AIの画像解析能力によって実現しました。これにより、企業は大量の文書処理を短時間かつ低コストで行うことができ、生産性の向上を実感しています。併せて、PRA(Robotic Process Automation)などのツールと連携することで、人間が介入する部分がより削減されることで、さらなる生産性の向上をもたらすことが考えられます。
前項の通り、AIOCR技術により、データ化プロセスの自動化は進んでいます。これにより企業の生産性は向上しているが、併せて、デジタル化したデータの連携や活用も進んできているため、間違った情報がシステム内に流れ込むリスクも向上しています。 AIOCRには、誤字脱字の検出機能や文脈解析能力などで、正確な情報の抽出とデータベースへの登録を実現すべく、技術改良がされていますが、その精度は100%ではありません。デジタルで印字された文字や数字の読取精度は高くなってきていますが、例えば手書きでは文字のクセがあったり、書かれている場所が違ったり、略字や業界用語で書かれていたりと、十分な読取精度が出ないことがありますので、ケースに合わせて活用範囲を検討する必要があります。
ミャンマーでのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスは、コストが安価であったり、体制を構築することが容易であったりするため、多くの企業に選ばれています。昨今では近隣諸国のコスト増加に合わせて、委託先をミャンマーに変更する企業も増加しています。詳細は、別ブログでアップしていますので、こちらをご覧ください。
ミャンマーでの海外BPO(海外アウトソーシング)が選ばれる訳
https://www.and-fun.com/media/category01/a105
ミャンマーのBPO市場は、若い労働力が豊富でありながら、周辺諸国より比較的低いコストでサービスを提供することができることから成長を続けています。また、電力インフラにまだ課題はあるものの、インターネットの環境整備が進められている点も市場拡大に寄与しています。外国企業がオフショアBPO先としてミャンマーを選ぶケースが増えており、特にデータエントリ、カスタマーサービス、ITサポートなど、幅の広い領域でBPOサービスが展開されています。 ミャンマーでは、英語コミュニケーションが可能な労働者が多く、外資系の企業で働いた経験を持つ人材も多くいます。また勤勉でまじめな人が多く、コツコツとした作業との適正もあり、継続して作業を行うことで、品質や作業の生産性を高めていくことができます。
ミャンマーのBPO業界が抱える主な課題の一つに、電力インフラの弱さと政治的な不安定さがあります。特に電力インフラについては、定期的に停電が起きるため設備的な対応が必要なだけでなく、計画停電で長時間にわたって提言する場合は、作業時間の調整を行う必要もあります。 また人材面でも注意が必要で、日本と違って外資系企業を渡ってスキルを向上させる、ジョブホッパー的な働き方をする方も多くいます。これはミャンマーに限った話ではないですが、窓口や作業をするメンバーに変更があれば、それまで培ったノウハウがなくなってしまうので、品質面でも作業生産性の面でも悪い影響が出てしまいます。 ミャンマーへBPOを委託するには、これらのメリットや課題を把握しながら、検討を行っていく必要があります。
これまではAIOCRとミャンマーBPOを別々に整理していきましたが、双方が持つ課題感を解決して、相乗効果でメリットを最大化する手段として、AI OCRとミャンマーBPOの組み合わせがあります。コストパフォーマンスと情報品質のバランスを取りながら、業務効率化を実現することができますので、具体的にこの組み合わせがもたらすメリットを整理していきます。
AIOCRとミャンマーBPOを連携させることで、高い品質を保ちながらデータ化プロセスをさらに効率化することができます。AIOCRは文字認識の自動化を担い、大量の紙文書をデジタルデータへと変換する作業を高速で行います。一方、ミャンマーBPOは、その処理されたデータを検証し、最終的な品質の向上を行います。これにより、人間の手によってAIOCRの認識ミスが削減されるのと同時に、時間とコストの節約を実現することができます。 さらに、ミャンマーBPOサービスで、熟練したスタッフによる丁寧な作業を行うことにより、AIOCRの機械が読み取りにくい手書き文字や、破損した文書などに対しても高い対応力を示してくれます。
AI OCRの技術とミャンマーBPOを併用することで、より高い精度でデータを処理することがでるとお話ししましたが、併用することでAIOCR費と人間による作業費がダブルで必要になることが大きなデメリットになります。また作業工程が2つに分かれるので、管理に工数がかかる点もデメリットになります。 しかし、データの精度が悪いと、連携先のシステムで不都合が起きたり、発見するたびに修正が必要であったり、全体の生産性が下がることが懸念されますので、ある程度のコストや手間をかけてでも精度を上げておく必要があります。後の分析作業や意思決定プロセスにおいても、信頼性の高い情報を提供することができることがメリットになります。
データ化プロジェクトの成功は、AIOCRとBPO委託先をどのように選び、組み合わせるかにかかっています。特にミャンマーBPOはコストと品質のバランスが魅力ですが、委託先の選定には慎重な検討が必要です。適切な価格、確かな技術、過去の実績などを加味して、信頼できるパートナーを選択することが、事業効率化と品質向上へと直結します。今回は、AIOCRとBPOパートナーを選ぶ上で重視すべきポイントを整理していきます。
AIOCR選定時には、機能性や精度はもちろん、過去の業界実績や導入後のサポート体制も考慮する必要があります。まず、対応できる言語や文字種を確認し、自社のニーズに合致しているか把握する必要があります。また、認識精度は実際の使い勝手に大きく影響を及ぼしますので、実際の環境でテストを行い、評価したうえで導入を決めていく必要があります。さらに、AIOCRの学習機能の有無や、細かな誤認識に対してどの程度カスタマイズが可能であるかをチェックすることも必要です。最後に、コストについても、初期導入費用だけでなく、ランニングコストも含めて総合的に評価する必要があります。
信頼できるBPOパートナーの選定には、提供されるサービスの質を測ることが必要になりますが、ポイントとして、過去の実績や専門性を見極めること優先しながらも、自社のビジネスや業務に対する理解の姿勢を確認していくことも重要になります。単純に言われた作業だけを安価に行う会社もありますが、お客様の事業や要望を理解して、提案も含めて調整ができる会社もあります。中長期的な関係性を構築して、生産性を向上していくには、会社の姿勢を見ていくことも重要です。 また、コンプライアンスや情報セキュリティ管理体制が確立されている必要もありますし、併せてコミュニケーション能力やツール利用の有無も重要です。特に窓口になる方とのコミュニケーションが、どのようなツールでどんな頻度で可能かどうかを確認する必要があります。最後に、コストパフォーマンスを検討する際には、安価なだけでなく、サービスの質が犠牲になっていないかを見極めることが肝心です。
BPOパートナーを海外に委託する場合、パートナーの選定と合わせて委託する国の検討も必要になります。経済状況、政策、労働力の質やコスト、言語能力、文化、宗教など、委託先を決める上で重要な要素です。併せて、国民性や日本に対する親和性も紙が必要なります。 ミャンマーはコストパフォーマンスが高く、若くて学習意欲のある労働力が豊富なことが特徴です。政治的安定性やインフラの整備状況には、まだ課題があると感じますが、国民性として勤勉でまじめ、コツコツとした作業を好むため、日本との親和性は高いと思います。委託国を選ぶ際には、これらの要素をまんべんなくチェックし、長期的な視野でのパートナーシップが築ける国を選定することが成功への鍵となります。
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