作業者 テンポラリー
先日、大阪府中小企業診断協会の「診断士の日」イベントに参加してきました。
その中で「ウィズコロナ、今、アジアはどう立ち向かっているか?」として、アジア各地(シンガポール、タイ、ベトナム、中国、台湾)で活躍している診断士が、現地のコロナ状況とウィズコロナ時代の経営環境の変化と現地企業の経営見通しについて、お話をしていただきました。
普段直接会話することの少ない海外駐在されている診断士の方のお話を、しかもアジア5か国を生中継でつなげられるITの恩恵を感じながら、伺ったお話を私なりに整理していきたいと思います。
はじめに各国(シンガポール、タイ、ベトナム、中国、台湾)におけるコロナの状況について、お話しいただきました。
シンガポールではかなり厳密なロックダウンを行い「ゼロコロナ」路線から、ワクチン接種率の向上(80%超)もあって最近は「ウィズコロナ」路線に転換されています。足元の感染者数では流行以来最大を記録するなど感染拡大の傾向があり、9月よりブースター接種(3回目接種)も行われているようです。
国内への入国規制として、中国からの規制はなく欧米8か国に対しも隔離免除がされています。11月からは韓国も隔離免除になりますが、日本からは入国後7日間の隔離と、入国前/隔離終了時のPCR検査が必要になっています。
ワクチン接種は義務化ではないものの、飲食店での外食も2名までは問題なかったり、ショッピングモールへの入場ができたりと、未接種の方と比べると緩和されているようです。
タイでは、11月から一部の国(63か国)に限定して新規入国者の隔離を実質撤廃したり、夜間の外出禁止を解除したり、少し緩和されてきているようです。しかし1日の感染者数は8,000人を超えている状況で、まだ心配を感じるところはあるようです。ワクチンの接種率は伸びでいるものの2回目接種完了は47%程度となっています。
タイでの経済指数を見ていくと、全体的に2018年から2019年になったころから成長率は下がっている中で、コロナでさらに打撃を受けた格好のようです。
店舗や施設への規制(営業時間/人数/陰性証明等)はかなり厳しく管理されているようで、会社においての在宅勤務は推奨のレベルになっているとのことでした。
続いてはベトナムから。今まではゼロコロナ路線だったものの、第4波で急激に感染者が増えた(5,000人/日)ことから「ウィズコロナ」路線へ転換されています。都市部でワクチン接種が進んだことから若干規制が緩和され、レストランの営業再開など日常生活を戻しつつある状況のようです。
ベトナムでは食料品と仕事以外の不要不急の外出禁止があり、オフィスの出社は50%までに制限されていたようです。製造業では地域によって工場内隔離として向上に寝泊まりすれば操業可能など、厳しい行動制限があります。また感染防止違反に対する罰金/罰則が定められていて、公共の場でマスクをしていないと約5千円の罰金になるそうです。
続いては中国から。ロックダウンを行ったこともあり、1日毎の感染者数がかなり少ない数字で推移しています。ワクチン接種も10億人を超える方が完了していて、ブースター接種も検討しているようです。
現在は、コロナ前と同様に外食や国内旅行など、普段通りの生活ができるようですが、国慶節の観光が前年割れしたことからも、完全に戻ったわけではないようです。
入国するには中国政府からの招聘状が必要で、隔離ホテルに2週間の滞在後にも7日間の在宅健康観察があるようで、日本よりも厳しい制限がかけられています。
台湾では、「台湾モデル」と呼ばれる防疫の徹底が有名で、かなり厳格な行動制限を行ったり、迅速に水際対策を行ったり、QRコードで位置情報を登録したりと、高い警戒意識を持っています。
現在の感染者数はゼロの日も多くなり、7月からは警戒レベル2になっています。そのこともあり、飲食も再開されて街中や有名な夜市にも人が戻りつつあり、夜市では海外からの観光客は戻ってきていないものの、ピークの70%~80%になっているようです。
台湾にはSARS流行(2003年)のころに伝染病防治法、罰則規定の強化、指揮系統の一本化などがされていたことが、影響しているとのことでした。ワクチン接種では、まだ2回目接種は30%程度ですが、日本からのワクチン提供もあり、接種が進んできているようです。
とても内容の濃いお話でしたので、今回はコロナ状況だけを整理しました。感染拡大に対する行動制限、ワクチンの接種率、経済活動の再開など、様々な観点で国ごとに状況が違うことが見て取れました。
国内の経済活動が緩和されていくと、いずれは国を超えた移動も緩和していくと思います。通常の渡航に関する手続き(ビザ等)以外にも、コロナ対策に関するルールや手続きの状況の確認も必要になってくるのだと思います。
次回は、ウィズコロナ時代の経営環境の変化と現地企業の経営見通しをまとめていきたいと思いますので、楽しみにしていてください。
それではまた。
アンドファン株式会社
中小企業診断士 田代博之