作業者 テンポラリー
多様性のある働き方、ワークライフバランスなどの言葉が出てきてから、旧態依然とした働き方の見直しが進んでいます。先日の記事でご紹介した越境リモートワーク「日本だけじゃない!世界中どこでも働ける越境リモートワークと言う選択肢」という、新しい考え方も出てきています。
その中で、副業や兼業に対してニュースになることも少なくない中で、先日の「世界と比較する勤勉な日本人の自己研鑽と副業の実態」でお話したように、実際に本業以外で仕事をしている人はとても少ないデータが出ています。
先日とある会社の経営層の方と、副業や兼業についてお話する機会がありましたので、違った目線でのご意見を入れながら、整理していきたいと思っています。
お話を伺ったのはお二人で、便宜上、A社とB社とさせていただきます。
A社は従業員数120名の製造業で、本社と工場の他に全国の営業所を持たれています。B社は家族経営で卸売業をされていて、これから外部人財の活用を検討されている段階です。
主にヒアリングを行った観点は、以下の3点になります。
「他社の副業や兼業者の活用」では、最近副業を認める企業が増えてきたこともあり、その人財を活用する会社も出てきているため、質問しました。
それぞれ会社の規模や業種、現状や今後の考えが違うため、両社とも違った意見をお持ちで、とても参考になりました。
A社の方は、副業や兼業のように収益を上げる目的ではないですが、様々な活動を行っています。会社の関りだけだと視野が広がらないとのことで、社外のネットワークを広がっていく中で、様々な知識や経験を持った方と交流をすることで、自身の視野を広げる意味で社外での活動を行っているそうです。
現状は会社の将来を憂いていることもあり、四六時中、会社や事業のことを考えてるため、上記の目的以外で副業や兼業を行うお考えはありませんでした。
逆にB社の方は、兼業として収益も上げながら様々な活動を行っていました。活動内容も多岐にわたっていて、自社の事業とは関係なさそうなこともありましたが、関連するまたは将来関係しそうな部分が多いように感じました。日中昼間は会社の仕事をし、それ以外の時間(朝や夜)で兼業の活動を行うように切り分けているようです。
今は直接的に事業に関係しなくても、ご自身のやりたいことはまだボヤっとしている部分はありそうですが、方向性がクリアになっているため、将来的には今の事業も含めてさらに大きな取り組みになっていくのだと感じました。
お二人のお話をお伺いし、常に会社や事業のことを考えている点は、会社員と大きな違いがあるように感じました。決して会社員が考えていないというわけではありませんが、覚悟や思いの部分では差があると思いました。
A社では、特に許可も禁止もしていないようですが、副業や兼業をやっている人はかなり少ないとのことです。また特段副業や兼業をやりたいと話をしてくる従業員もいないようです。実施されている(だろう)方も、正式に把握しているわけではなく、隠れてやっているとのことです。
B社では、家族経営と言うこともあり、従業員の副業や兼業が今現在あるわけではありませんが、将来的な話として特に禁止するつもりもないようです。むしろ他社の副業や兼業者の力を借りたいということで、特に壁はなさそうでした。
A社でも、副業や兼業の要望があれば前向きに検討されるとのことで、お二人とも前向きなお考えを持っていました。しかし共通してお話していたのは、金銭を得ることだけを目的に時間を消費する副業であれば、賛成はできないかもとお話していました。
社外でのネットワークを広げるため、自身の視野を広げるため、会社ではできない経験をするため、挑戦したいことをするためなど、前向きに活動した結果に収益があることは応援したいとお話されていました。
A社では、正直イメージはし辛そうでしたが、もし活用するなら「推進してくれる」ことと「想いが共有できる」ことが条件になるとお話しいただきました。
B社では、基本的に副業や兼業者も歓迎ですが、高い専門性をもってプロジェクト的に入る場合や事務処理など定型業務を行う場合は、純粋に過去の経験や費用対効果で考えるとのことです。しかしそれ以外の言わば従業員的な組み方であれば、A社と同様に「想いが共有できる」ことが条件になるとお話いただきました。
お二人とも「想いが共有できる」と言う点で共通していたのが印象的でした。副業や兼業だと時間的な制約や、絶対的な活動量の制約などはありますが、共に事業を行う相手として想いが共有できれば、やり方はあるのだと感じました。
これからの人財確保の面で、働く場所や時間にとらわれないで業務を行える環境があることは、とても強いと感じています。私の考えですが、制度や環境などを簡単に変えられない大企業より、柔軟に変更できる中小企業の方が進めやすい部分があると思います。
国内での人材確保はますまず規模しさを増していくと思いますので、外部環境に合わせて今までにない領域で人材確保を検討することは、メリットが大きいことだと思っています。
それではまた。
アンドファン株式会社
中小企業診断士 田代博之