作業者 テンポラリー
以前に「提案書作る時に注意するポイントとは何か?」の記事で、提案書を作成する際のポイントをお話させていただきました。
提案活動のプロセスでは、提案書作成前に行うこと、提案当日に注意すること、提案後に実施することなど、提案書を作成する以外にも前後に様々な活動を行う必要があります。
本日は、前回お伝えできていなかった提案前の準備や、提案当日の対応、提案書提出後のお話を整理していきたいと思います。
提案書を作成する前に行うことは多く、普段、営業パーソンが行っている主な活動になるかと思います。提案前での活動で得た結果が提案書に反映されることを考えると、とても重要な活動となります。
前回のおさらいになりますが、お顧客の検討状況には以下のようにいくつかの段階があります。提案依頼書の段階まで行けば、案件としては具体化していますが場合によっては委託先に目途がついているケースもあるため、提案活動としては苦しくなることがあります。
理想としては、提案依頼書が出る前で、出来れば解決策を収集する前に情報が掴めると、案件としては具体化していないため時間や手間はかかるかもしれませんが、自社に有利な方へ話を向けることができる可能性もあります。
提案活動は、顧客や案件に関する様々な情報を集める、いわば情報戦の側面があります。自社の製品/サービスの良し悪し、提案の内容だけでなく、事前に必要な情報がつかめているか、または顧客へ情報を与えられているかで勝負が決まることもあります。
私が考える、提案前に収拾したい情報は、概ね以下の通りです。。
案件概要については、検討に至った背景とどうなりたいかの目的をしっかりと抑える必要があります。またこの案件によって何を解決したいのかも併せて抑える必要があり、ここがブレてしまうと、提案内容もお客様希望とズレたものになってしまいます。
また(導入や検討)時期、予算感、競合の有無なども併せて確認しておく必要があり、併せて今回の案件の評価基準(提案内容?費用?実績等)を確認していきます。
顧客情報は今回の案件に関わる部分だけでなく、顧客のおかれている状況と今後向かっていく方向性を取ります。具体的な案件はこの現状を改善する内容や、向かっていきたい方向性と合致しているからです。
また案件窓口の部署だけでなく、どの部署が絡むのか?役職者はどこまで絡むのか?を抑える必要があります。併せて決裁ルートや最終決裁者も金額などによって変わってくると思いますので、ここも抑える必要があります。部署や立場によって気にするポイントが変わってくるため、事前に情報をとることが大切になります。
ポイントとしては、外部に公式発表される情報だけでなく、内部の裏情報など普段では出ない情報が取れていると提案活動は有利に働きます。単純に質問して得た回答だけでなく、多角的に情報を取ることや、普段から関係性を構築しておき少し深い話ができる関係性を築いておくことも大事になります。
提案当日の対応内容は、普段の打合せの時と同様に、いつどこで誰向けに行うのかを把握する必要があります。日程はわかりやすいですが、どこくらいの広さの会議室(最近ならWEBツールの種類)で、誰が参加するのかは事前に把握して準備をする必要があります。
他には、時間配分、資料(事前配布かどうか含め)、リハーサルなどの準備を行い当日に挑みます。当日は準備した通り自信をもって対応することが大事ですが、予期せぬことやトラブルは大小合わせて起こりますので、準備はしっかりしつつも、思惑や当初の予定通りにならなくて当然位の気持ちで挑むことが大事と思います。
あとよく忘れがちなのですが、提案の機会をいただけたことに対する感謝を冒頭に述べつつ、最後には今後の流れや宿題事項を整理して、提案後のアプローチにつなげていきます。
提案書提出後は、提案時の宿題事項の回答や、追加の質問や情報提供が必要ではないか、などを確認していきます。できれば、競合の状況、提案書の評価、検討の状況などをヒアリングしながら、必要に応じた対応をしていきます。
顧客への対応がひと段落付けば結果待ちになると思います。結果が出た後は必ず、次回以降の案件獲得のために何をどうすれば可能性が上がるのかを、内部で振り返りを行います。顧客との関係は今後も繋がりますし、結果がどうあれ振り返りを行うことが大切になります。
提案活動は、企業にとっても個人にとっても悩みを抱えている方は多いと思います。私自身も書籍等で探したことがあるのですが、いわゆるパワーポイントの作り方の本はありますが、提案活動にフォーカスをあてた書籍は多くありませんでした。
今回の2回にわたって整理した内容が、皆さまの提案活動のお役に立てると幸いです。
それではまた。
アンドファン株式会社
中小企業診断士 田代博之