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提案書作る時に注意するポイントとは何か?

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企業活動において、自社の製品やサービスを顧客に紹介し、購入してもらうためのプロセスとして「提案」の段階があります。特にBtoBのビジネスでは、WEBだけで購入することは少ないため、営業パーソンなどの人による提案活動が必要になります。

「提案」のプロセスにおいては、製品やサービスの価格、性能、質だけでなく、顧客の課題を把握して自社の製品やサービスが解決に有用であることや、競合他社よりも優れているかなどを理解してもらう必要があります。

今回は、「提案」のプロセスの中でも、提案書を作成する上で必要な要素を整理していきたいと思います。

提案書が必要な時は?

企業活動において受注を獲得するプロセスとしては、大きく分けると以下の流れがあります。

  1. 業界やターゲット選定
  2. 顧客接点の獲得
  3. 顧客課題の把握/提案依頼の受領
  4. 提案活動
  5. フォロー

BtoBにおいては、1.の業界やターゲットの数はBtoCに比べて限定的になったり、2.の接点獲得から課題を把握、または提案依頼の受領までに時間を要したりといった特徴があります。また3.の段階においても、顧客側の検討状況によって段階があり、案件獲得できる可能性や提案時のポイントも変わってきます。

  • 問題/課題意識が潜在的
  • 問題/課題意識が顕在化
  • 解決策を収集
  • 提案依頼書(RFP:Request For Proposal)の発行
  • 提案の評価

顧客の検討段階で提案依頼書の発行まで進むと、課題は明確になり解決策や場合によっては委託する会社も決まっていることも考えられます。逆に検討段階が浅い場合は、課題自体が曖昧なこともあるため課題の認識から行う必要が出てきます。

この辺りの提案前の準備や、プレゼン当日の対応提案書提出後の対応などもとても重要な点ではありますが、今回はある程度顧客の課題が明確になり、提案書を作成する段階をイメージしていきます。

提案書の作成するポイント

提案書を作成するにあたって、大きく分けるとどんな構成で何を書くかという「内容面」と、資料化する際に何に気を付けるかという「資料面」があります。

提案書の内容面で気を付けること

内容面では、相手に理解を促す、または相手を説得するためにどんなことが必要かという観点で、構成を考えていくことになります。

  • 顧客の目的
  • ニーズを満たす/課題の解決策
  • 顧客への価値
  • 競合他社との比較

これらのポイントを盛り込むためには、製品やサービスの「特徴や利点」「利益」などを明確にしながら、ニーズをどう満たすのか?具体的にどう解決するのか?などの具体策を示し、それが実現できる実績や事例などを紹介しながら、説明していく必要があります。

また上記のポイントが、他社よりも優れていることも併せて話すことで、自社の提案を選んでもらうようにする必要もあります。

また人を説得する要素として、アリストテレスの「弁論術」では以下の3要素が重要だとされていますので、併せて紹介していきます。

  • エトス:信頼
  • パトス:感情
  • ロゴス:論理

エトスは、話し手の信頼や人柄のことで、同じ内容でも話し手によって印象が変わったり、理解されやすかったりすることは、イメージしやすいかと思います。

パトスは、聞き手の感情のことで、情熱をもって相手の感情に訴え、相手の感情を揺さぶることや共感を得ることが重要になります。

ロゴスは、論理的に話すことで、内容が論理的に正しくある必要があります。

提案書として考えていくと、「ロゴス:論理」のところにフォーカスが当たるように思いますが、顧客の共感を得ることや信頼を得る点も意識すると、より良い提案書になると考えます。

提案書の資料面で気を付けること

資料面では、具体的に資料を作成するときに、どこに気を付ける必要があるか?の観点となります。ここは書籍なども多数発行されていますし、作成する人による好みや会社のルールなどもあると思います。

今回は、私が提案書を作成する上でshindanshi-17を、簡単に整理していきます。これらのポイントを踏まえると、資料の体裁として整っていくと思います。

  1. フォントと文字サイズ
  2. 配色
  3. ヘッダとフッタ
  4. グラフや表や図
  5. 用語や文字の統一

 

1.のフォントは視認性が高いメイリオで統一しています。文章の場合は明朝の方が読みやすいと思いますが、提案書ではそこまで多くの文章は書かないのでメイリオにしています。文字サイズはタイトル>キーメッセージ>見出し>本文など使うサイズを統一して、パット見で分かりやすくしています。

2.の配色は、ベースカラーの濃淡とアクセントカラーの反対色(色相関で反対側)と黒の3色で作成します。あまり色が多いと統一感がなく、読み手もわかり辛くなります。濃淡を利用すると色同士の関係性(強弱)を表現することができます。

3.のヘッダとフッタでは、フッタにページとコピーライトを記載します。これはスライドマスタでセットしておくと抜け漏れがないので楽です。

4.のグラフや表や図は、理解を補助するために使用しますが、3D、影などの機能は使わず、出来るだけシンプルなものにし、私は図の枠線も使用しません。また情報量が多くなってしまうため、どこを見てほしいのか、何を伝えたいのかがわかるように、重要な点を囲ったり、吹き出しでポイントを記載したりと、一工夫する必要があります。

5.提案書内で使用する用語は統一しておかないと、違うものと認識されるリスクがあるので注意が必要です。パワーポイントでも検索や置き換えが使えますので、これらの機能を使うと楽にチェックできます。文字の統一は特に語尾の「ですます」や、文末の体言止めなどもできるだけ揃えるようにします。

総じてポイントとしては、ある程度の体裁が整っていないと、読み手が気になって内容が入ってなかったり、読み手からの信頼感が薄れてしまったりするので、内容以外のところでも注意することが必要になります。

最後に

今回は提案書を作成する上でのポイントを整理しました。企業活動の中でも場面として多いと思いますので、ぜひ活用いただければと思っております。

今回お話しできなかった、提案前の準備や、プレゼン当日の対応、提案書提出後の対応などについては、別の機会に整理していきたいと思っております。

それではまた。

 

アンドファン株式会社

中小企業診断士 田代博之

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