作業者 テンポラリー
おはようございます。
昨年末、平成31年度予算と平成30年2次補正予算が閣議決定されたことにより、今年も「IT導入補助金」の継続がほぼほぼ決まったため、IT導入に関するお話も徐々に増えてきました。
IT投資に関する効果や課題、IT導入の効果を高めるための取り組みなどは、以前に「IT導入を成功させるために必要なこと」に書かせて頂きました。結論としては「経営者の陣頭指揮のもとにIT導入に合わせて適宜業務プロセスを見直していくこと」が重要とお伝えしました。
本日は、IT導入前において「どこに導入するのか?」「何を導入するのか」などの悩みについて、思うところを書いていきます。
IT投資やIT導入を検討する際、対象の業務を絞って「どこに導入するのか?」を検討していく必要があります。まずは中小企業白書から、代表的なITツールとその活用状況についてみていきます。
出典:中小企業庁「2018年 中小企業白書」より
これを見ると、アンケート項目に業務効率を上げるためのITツールが多いのが気になりますが、オフィスシステムと電子メールは多くの企業である程度活用されているが、EDIなどの電子文書、グループウェアについてはほとんど導入/利活用がされていないことがわかります。
同然、IT導入が出来ていない箇所には多くの改善余地があるということですので、IT導入によって効率化のメリットを享受することを検討することになると思います。とはいえ費用や時間などの制約もあり、何でもかんでもIT化は難しいので、対象を絞って検討を進めていくことになります。
対象を決めるにあたって、費用対効果の面から考えると、投資に対する「IT導入の効果が高い業務」や「改善の余地が大きい」を探して、IT導入による効率化を検討していくことが多いと思います。
もちろんこの考えは重要ですが、ここで注意していきたい点は、IT導入の効果を高めるためには、業務プロセスの見直しも重要であるという点です。つまり、IT導入で入力項目の簡略化や、自動処理がなされると、今までの業務プロセスが改善することで良くも悪くも少なからず影響がでることがあります。
改善の基本原則に「ECRSの4原則」があります。上から順番に検討していくのですが、仮にどれを選択したとしても、現状のままではなくなります。
IT導入による効率化を検討する際も、原則にのっとって考えていくことは重要ですが、ここで大切な視点として、その業務(プロセス)が「価値を生み出しているのか?」を考えていくことも必要になります。
仮に、特に価値を生み出してない場合は、ECRSの原則にのっとって検討し、価格的にも安価な既存のITツールに合わせて業務プロセスを変えていくことがいいと思います。しかし、価値を生み出している業務の場合は、多少手間や時間が掛かっていたとしても無理にプロセスを変更することはリスクが伴います。
またIT化を行う場合でも、既存のITツールに合わせるのではなく、カスタム費用など余計に費用が掛かったとしても、業務プロセスにITを合わせる観点も必要になります。無理に改善を行おうとして、結果、改悪になってしまっては投資した意味がなくなるどころか悪い影響が出る可能性もありますので、注意が必要になります。
多少面倒かもしれませんが、IT導入は手放しで効果の得られるものではありませんので、時間がかかったとしても細かく検討を重ねながら、どのようにIT導入するかを決定していて下さい。
ITは何となく便利、IT導入すれば何となく効率化できると思われているように感じますが、どこにどんなITを導入するのか、また業務プロセスをどうするのかもしっかりと検討して下さい。
アンドファンでは、IT導入補助金の事業者に登録していますし、気軽な相談を承っていますのでお気軽にお声がけ下さい。
それではまた。
アンドファン株式会社
中小企業診断士 田代博之