中小企業のIoT活用を現場から考えてみる

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作業者 テンポラリー

B!

おはようございます。

昨今、耳にしない日はない程に盛り上がりを見せている「IoT(Internet of Things)」ですが、企業のこれからを考えると、それだけ見逃せないトレンドなのだと思います。実際、「IoTに興味ありますか?」と漠然とした質問をすると、ほとんどの会社で興味はあるとお答えになります。

しかしながら、成功事例や導入事例で出てくる企業は大手企業が多く、中小企業にとって導入のハードルがあることも事実なのだと思っています。また実際にIoTの導入や検討に関わる現場にいると、思わぬ形で苦労しているケースにも遭遇します。

今日はIoT活用に関して実際の現場で起こっていることから、中小企業にとっての付き合い方を考えてみたいと思います。

IoTとは?をどうとらえるか

まずIoTとは?を考えてみると、日本語では「モノのインターネット」と訳され、何か理解できたようなできていないような感覚になりますが、ウイキペディアでは以下のように定義されています。

モノのインターネット(英語: Internet of Things, IoT)とは、様々な「モノ(物)」がインターネットに接続され(単に繋がるだけではなく、モノがインターネットのように繋がる)、情報交換することにより相互に制御する仕組みである。それによる社会の実現も指す。「物のインターネット」と表記された例もある。現在の市場価値は800億ドルと予測されている。
引用:Wikipedia冒頭文より

IoTには少し概念的なところがあるので、説明を簡単にするために、あらゆる「モノ」がインターネットに繋がる「仕組み」のことであるとします。また「モノ」についても具体的な定義があるわけでは無いので、この世に存在するあらゆる物体だと理解をして、話を進めます(ここはサラッと流して頂いて問題ありません)。

中小企業にとっては「IoTが何者か?」の議論よりも、「IoTを活用してどんな利益が得られるのか?」や「IoT活用のメリットを享受するためにどうしたらいいか?」の方が気になると思いますので、IoT活用についてのお話を進めて行きます。

少しだけ余談ですが、1~2年前頃は「Internet of …(例:IoA、IoE)」と様々な呼び名が飛び交っていましたが、最近は減ってきたように感じています。それだけ概念的な話から現実的な導入段階に入ってきたのだろうと、私は考えています。また思い返せば「IoTってなんですか?」という会話は減り、もう少し具体的なIoTの導入や活用についてのお話が増えてきているように感じています。

IoTを活用するための注意点①

さて、話を戻します。「IoT=仕組み」とお話しましたが、これを活用していく上での注意点として感じている事が、大きく2つあります。

まず1つ目は、「IoTで実現したい(やりたい)ことを考えることからスタートする」ことです。 ありきたりな話ですが、目的や目標を先に検討して、それを実現する手段としてIoT=仕組みが適しているのかを検討していく必要があります。

例えば「IoTで何が出来るの?」から考えてしまうと、検討範囲が膨大になり、結果「何でもできそう」とか「これはIoTなのか?」など、先に進まない答えが出てしまうことになります。

また巷では「IoTや見える化が簡単にできます!」との触れ込みで、スターターパックや評価キット等が安く販売されています。実際、結構簡単にIoTっぽいことが「できた」状態することはできるのですが、取り敢えず購入した後、なんとなくこの先が進まないケースに遭遇することがあります。
この手の商品が悪いわけでは無いですが、事前にある程度の目的や目標を持って取り組まないと、いわゆる「手段の目的化」が起きて話が進まなくなってしまうことがあるので、注意が必要です。

なかなか自社の課題を見つけるのが難しい場合や、自社に知見のある人財やリソースが無い場合も多くあります。その場合、これで悩んでいる、これが出来たら従業員や顧客が喜ぶなど、視点を変えながら探してみて下さい。 また導入事例を見ながら自社でもやりたいことを検討したり、外部の知見やリソースを上手に利用したり情報を集めることも有効だと思います。

IoTを活用するための注意点②

次に、IoTの仕組みを使い様々な「モノ」がインターネットにつながると、質の面でも量の面でも多くのデータを受渡しすることになります。IoTの活用では、この「データ」を活用して価値を生み出していくことが重要になります。

データの利活用段階については、業界や業種によって違う点もあるかもしれませんが、総務省が公開している情報通信白書のデータから見ていきます。
下の図は「企業におけるデータの利活用モデル」の図となっており、データ利活用の進展とデータから生み出される価値のイメージを示しています。

企業におけるデータの利活用モデル
出典:総務省「平成28年情報通信白書」より

IoTと聞くと何か魔法の杖のような、導入すれば効果が上がるのではないかとイメージされている方に遭遇することがあります。図から見えるようにまずは「収集・蓄積」の段階からスタートして、コツコツとデータ利活用の段階をあげながら価値を上げていくイメージをもつ必要があります。
またいきなり多くのデータを収集すると、結局何が大事なデータかわからなくなってしまうケースがありますので、必要最低限のデータ収集からスタートしていくこともポイントになります。

同時に、センサーの取り付け方や計測の方法を誤り、折角時間をかけて取得したデータが解析に使えなかった事例も発生しています。取り敢えず試してみることは重要ですが、後で検証できるように事前に準備することは忘れないで下さい。

最後に

IoTの導入や活用がなかなか進まない課題に対し、以前の記事(IoTの盛り上がりと関連資格の普及状況について)で書いた「人材の問題」が大きいとこはあると思いますし、中小企業にとっては顕著だと思います。人財の育成には時間がかかりますし、ある程度の余力も必要になります。

ムリに最初から自社で完結させようとするのではなく、知見を持った相談相手を見つけて相談しながら進める、または外部リソースを上手に活用しながら自社に知見やノウハウを貯めていく、このような観点が中小企業にとっては重要になると思っています。

IoTは上手に活用していければ多くの可能性を秘めていますので、スモールスタートでも徐々に検討を進めてみては如何でしょうか。

それではまた。

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